心と体

汚染米流通の裏に農水省天下り検査機関の存在が明らかに!  青山貞一

 中国や東南アジア諸国から日本が輸入している事故米とよばれるお米に含まれる農薬などの有害物質が問題となっている。

 それらのお米は本来、工業用の糊などにしか使えないはずなのに、お酒やお菓子などに使われ、日本各地で事件化しているのは周知の通りである。

 では、日本政府公認で輸入し、使用しているそれら事故米に、なぜかくもさまざまな農薬など有害物質がかなりの濃度で含まれているのか? 

 というのも当然、輸入されるお米は水際で検査が行われているはずであるからだ。もちろん、含まれているから事故米なんだ、という考え方も出来るが、しっかりと検査をしていればあらかじめそれを公表すべきである。

 公表していれば、関連業者はお酒の材料とすることはなかったし、お菓子に使うこともあり得なかったはずだ。

 私が一時期在籍した長野県の研究所では、県内の全保健所から送られている食品に含まれる農薬などの有害物質の検査をしていたが、これはひとたび日本国内に入ってきたものの検査である。

 自治体の検査機関とは別に農水省などが水際、すなわち成田(航空機)や横浜・神戸(船)などで運ばれてくる各種農作物を試料採取し、そららに含まれる有害物質分析の濃度を検査し、もし基準以上の場合あるいは日本では使用が禁止されている化学物質が含まれる場合は、輸出国への送り返しあるいは廃棄を指示している。

 かくも多くの有害物質を含む、またカビだらけの米が日本国内に堂々と入ってくること自体??である。

 そんななか2008年10月8日夜の報道ステーションでは、これに関するスクープ番組を放映したが、番組で汚染米流通の裏に農水省天下り検査機関の存在が明らかになった。以下はテレビ朝日の番組紹介である。

 農水省のずさんな検査・管理体制が明らかになった汚染米の不正転売問題。農水省では流通ルートや原因の解明作業を進めていて、農薬「アセタミプリド」が検出されたベトナム米については、三笠フーズから9つの酒造メーカーに流れたことがわかったと発表した。しかし、なぜ農薬にまみれた米が日本に入り込んできたかについては、実は調査すら行われていない。今回番組では、汚染米の輸入ルートを独自取材。何重もの検査をすり抜けた裏に天下りの闇が広がる。

 ところで気になる農水省の幹部や職員の天下り組織だが、それはOMIC(オーミック)だ。OMICは米国、中国、ベトナム、タイなど世界各地に支社がある。全職員は360名もおり、年間農水省からOMICに流れるカネは数10億円にのぼっている。

 世界各国にある農水省天下りによる検査機関 OMIC 公式Web

商 号
海外貨物検査株式会社
英文名:Overseas Merchandise Inspection Co., Ltd.(OMIC)
設立年月日
1954年(昭和29年)12月8日
代表者
代表取締役社長 谷萩 眞一、代表取締役常務 伊藤 敏
資本金
60,000,000円(2006年3月31日現在)
役職員数
約360名(2006年1月31日現在)(但し、現地法人役職員を除く)
事業所数
35(2007年7月1日現在)
国内:11(本社:1 支店:1 分析所:1 駐在員事務所:7 子会社:1)
海外:24(支店:3 営業所:2 事務所:3 駐在員事務所:1 現地法人:15)
本 社
〒103-0026 
東京都中央区日本橋兜町15番6号(製粉会館7階)
TEL:03-3669-5181、FAX:03-3669-5190
主な事業内容
・貨物の品質及び数量・重量の検査・検定・鑑定
・商品の物性テスト、成分分析及び食品安全性検査ならびに遺伝子・蛋白質分析による鑑定
・商品・建造物・船倉等のくん蒸及び消毒
・貨物の積み卸し及び入庫・出庫の管理
・マリンサーベイ及び保険サーベー
・輸出入商品の価格評価および機械類・工場・発電所設備の価格査定
・農水産物、鉱産物および工業製品の生産、加工、流通等にかかわるコンサルタント業務
・有機農産物・有機農産物加工食品等にかかる生産・製造工程の規格適合認定業務
・上記業務の付帯事項
出典:OMIC公式Webより

 番組では、ベトナムから日本に輸出される米に含まれる農薬などの検査に関連し、ベトナムの検査機関にインタビューを行うと、日本に輸出する米はすべて日本の検査機関が担当しており、ベトナム側では一切行っていないという。その検査機関を聞くと、「OMIC」と応えた。

 テレビ朝日はさっそく現地でOMICの事務所を探し当て取材に向かうと、出てきた日本人の支社長は、ケンモホロロ、とりつく島もなく取材拒否。お客のことは一切話せないの一点張りだった。

 その数日後、テレビ朝日に連絡が入り、取材に応ずることになった。

 取材では対応した支社長は、ベトナムのOMICは米をサンプリングして日本の検査機関に送るだけを繰り返すばかりであった。これはタイのバンコックでも同様であった。検査はすべてOMICが独占的に行っているということであった。

 結局、OMICは農水省からの膨大な天下りを養うだけの組織で、今回の一連の事故米問題では、何一つ汚染米について水際での対応がなされていなかったことになる。

 こんな機関に年間数十億円もの国費が投入されているとは驚いた!しかもOMICは米など穀類専門とのこと。実際に分析しているのは東京にある農水省の外郭団体なので、この機関はほとんど税金を無駄に浪費する天下り受け皿団体と思われても仕方ないだろう。 

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増えている化学物質過敏症      青山貞一

 ところで、農作物や加工食品、水などに含まれる金属類や化学物質の中には、ミネラルなど人間が生きて行く上で必須のものもある。だが、金属類の多くは体内に多く摂取した場合、悪影響を及ぼす。必須のものでも、摂取しすぎれば健康を害するのは当然のことである。

 特に、重金属類やある種の化学物質については、摂取量によって生体への影響、被害の出方が大きく異なることが知られている。当然、大量に摂取した場合、生体影響が大きく、致死の可能性もある。有機水銀による水俣病、カドミ摂取によるイタイイタイ病などがその一例である。

 では、少ない量を摂取した場合どうなのか?

 少ない量を体内に摂取した場合の生体への影響は、ひとによって大きく異なる可能性があることが、ここ10数年の米国における大学や研究所などの研究で分かってきた。

 たとえば化学物質を多量に摂取すれば、急性中毒となるが、それよりは少ないものの一定量を一度に摂取した場合、あるいは継続的に摂取した場合、ひとによって「化学物質過敏症」という厳しいアレルギー症状を呈する可能性が指摘されている。しかも、一度、化学物質過敏症になると、かなり少ない摂取量でアレルギー症状や化学物質過敏症に固有な症状を呈することになる。

 たとえば、動物実験で有害作用が見られないほど暴露量が少ない無毒性量の場合でも、化学物質過敏症や多重化学物質過敏症の人にとって固有の症状がでることが最近の研究から明らかになってきている。

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図1(上の図) 従来の暴露量と生体影響の関係
出典:厚生労働省

図2 化学物質過敏症を考慮した暴露量と生体影響の関係(下の図)

 以上の関係を図で示すと以下のようになる。図1が従来の暴露量と生体影響の関係、図2が化学物質過敏症を考慮した暴露量と生体影響の関係である。ただし、ADIは一日単位の許容摂取量である。

 また東京都杉並区にあるプラスチック廃棄物の中継施設の周辺で起きた「杉並病」はその典型例である。

 この場合、非常にやっかいなのは、同じ量を摂取しても「化学物質過敏症」とならない人がいることだ。症状がでない人がいることから、「気のせい」ではないかなどとされ「杉並病」を煩っているひとびとの気持ちを逆なでしている。
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Teiichi Aoyama

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重要な急性毒性と慢性毒性の違い   青山貞一

 ここ1ヶ月、農薬・殺虫剤などを含んだ事故米問題が日本を席巻している。すでに大臣、事務次官、局長等が辞任したようだが、事故米における農水省の責任は大きい。

 それは農水省が事故米を人間が摂取しても「直ちに影響はない」と何度も言ったことだ。専門的には、「直ちに影響がない」=急性毒性、ということを意味する。

 だが、直ちに影響がなければ問題ないのかと言えば、そうでない。毒性には、急性毒性以外に亜急性毒性、慢性毒性がある。直ちに影響がないというのが事実だとしても、だからといってじわじわ人体に影響を与える慢性毒性が否定されたことにはならないのである。

 以下は、私があるブログで連絡している論考から「重要な急性毒性と慢性毒性の違い」について書いた部分である。参考にして欲しい。

■重要な急性毒性と慢性毒性の違い

  比較的最近の例でとして、中国製餃子農薬混入事件に象徴される食の安全問題がある。これは、賞味期限の虚偽と異なり、健康への実害がある。餃子だけでなく、農作物への日本で使われていない農薬、殺虫剤、除草剤の混入、さらには水銀などの魚介への蓄積問題もある。

 総じて有害物質やウィルス、菌の食物混入問題である。毎日私たちの口に入るものだけに、看過出来ない問題だが、当然のこととして、冷静に考え、行動する必要がある。

 中国餃子農薬混入については、敢えてここで詳細を述べる必要はないが、たとえば厚生労働省は以前、近海深海魚のキンメダイ、遠洋魚のメカジキに含まれる微量の水銀が、特に胎児に悪影響を及ぼす可能性があるとして、妊婦がこれらの魚を食べるのは週2回以下にするよう注意を呼びかけている。厚生省は日本人になじみの深い魚、約300種について摂食回数の目安を公表している。

 中国製餃子への農薬混入は人為の可能性が高いが、厚生労働省発表の魚類の方は、環境汚染が魚類に蓄積したと見るべきであろう。もちろん、水質汚染のもとはといえば工場排水、農薬散布、ゴミの焼却などだから人為的なものではあるが。また、いわゆる食中毒の多くでは急性ないし亜急性の中毒症状が起こっている。さらに原因物質との関連で見ると、農薬、殺虫剤、除草剤、有害化学物質、重金属、それにウィルス、サルモネラ菌などがある。

 ここでは食品の安全と安心問題をリスク論と毒性論から見てみたい。まず、人の生体影響には大別して二つのケースがある。第一は、食べてすぐ中毒症状がでたり、病気さらには死に至る場合である。

 そしてもう一つは、すぐに生体への影響や被害は生じないものの、長期にわたり食べ続け、有害化学物質などの毒物を体内に摂取すると、ガンになりやすくなったり、免疫機能や生殖機能に影響を与える場合である。

 毒性学の観点でこれを見ると、前者を「急性毒性」、後者を「慢性毒性」という。両者の中間を亜急性毒性などとも言っている。

 有名な例として、たとえば長野県松本市や地下鉄のサリン事件は、深刻な急性毒性が問題となった事件である。最近では、千葉県の生協で買った中国製餃子を食べた子供が生死をさまよう被害を受けた。幸い一命は取りとめたが、これも急性毒性による生体影響に含まれる。

 一方、筆者も調査にかかわった埼玉県所沢市のダイオキシン問題がある。ことの起こりは、ほうれん草やお茶の葉を栽培する農地の近くに数10もの産業廃棄物の焼却施設が林立していたことにある。

 建設廃材に含まれる塩ビなどを焼却するため、ダイオキシンを含む煙が農地に流れ、それを吸いこんだ農作物の葉にダイオキシンが高度に蓄積したのである。

 当時、国や自治体関係者は「直ちに影響があるわけではない」と躍起になって火消しと安全宣言に奔走したが、これは至極当然のことである。確かにダイオキシンは史上最強の毒性を持っているが、問題のほうれん草には人体に急性毒性をもたらすほどのダイオキシンは含まれていないからだ。したがって、すぐに死んだり病気にはならない。

 では、所沢ダイオキシン騒動は行政や一部事業者が言うように問題ないのか?
 とんでもない、問題はある。それは慢性毒性による影響である。

 いわゆる環境ホルモン毒性(正式には内分泌かく乱物質毒性)のように、食べ物に含まれる量が超微量であっても継続的に体内に摂取した場合に、たとえば男性の精子の量が減少するとか、免疫機能に異常をきたすといったことが起こる可能性があるからだ。

 これこそ、まさにおそろしい慢性毒性の典型例である。慢性毒性では、ひとがすぐに死んだり、深刻な症状を呈さない。だからといって問題がないわけではないのである。私たちはそこをしっかりと認識、把握する必要がある。

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出典:青山貞一@環境総合研究所

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