長野県に見る広域ごみ処理計画の行き詰まり  池田こみち

 春爛漫、東京の桜も満開を迎えた。入学式に桜、平和な春の光景だ。

 新しい年度になっていろいろな計画、事業が動き出す季節でもある。新年度初日に長野県の岡谷市でごみ問題の学習会が開催された。そこで見えてきた日本の自治体がかかえるごみ処理の課題をまとめてみたい。

 4月1日夜7時、長野県岡谷市のイルフプラザ*1)の講義室には、霙が降る寒い中、大勢の市民が集まった。信州生活者ネットが主催する「ごみ処理問題を考える」と題した学習会である。依頼された演題は「大型ごみ処理施設に莫大な税金は使わせない!私たちにできること」と、なかなか過激である。まず、この地域の現状を説明しておこう。

 長野県には10の広域連合があり、岡谷市を含む地域は「諏訪広域」といい、長野県のほぼ中央に位置している。構成自治体は6市町村だがごみ処理に関しては、諏訪南(茅野市・原村・富士見町)と湖周地域(岡谷市・諏訪市・下諏訪町)に二分されている。

 Image32 図① 長野県の広域行政地図

それぞれの地域では、構成自治体の人口や産業構造、ごみの排出量などが異なるため、なかなか一体的なごみ処理が行いにくい状況にある。諏訪南地区では、数年前から新たに【灰溶融+焼却炉】の新設計画が持ち上がったが、結果的に合意が得られず頓挫している。同様の混乱が湖周地域でも数年続いていた。

 現在、岡谷市、諏訪市、下諏訪町にはそれぞれごみ焼却施設があるが、いずれも古く建て替えの時期が迫っている。規模が小さく古いため、基準値はクリアしているものの、結構高い濃度のダイオキシンを排出しているのだ。一方、焼却灰の埋立処分場も余裕がなく、抜本的にごみ処理のあり方を見直さなければならなくなっていた。そんな折、国の交付金を利用するのであれば、やはり【灰溶融+焼却炉】か【ガス化溶融炉】でないと、ということになり、平成17年3月に「湖周地域ごみ処理基本計画」と「廃棄物循環型社会基盤施設整備事業計画」が策定され、新たな施設は【灰溶融+焼却炉】とし規模は136t/日、費用は80億円、設置場所は岡谷市の現焼却施設跡と決定さた。

 しかし、計画の実現に向けて議論を進める過程で、2市1町の間では費用負担のあり方などを巡り混乱が続き、当初2011年には稼働する予定が、すっかり遅れるどころか、わずか4年で新たなごみ処理基本計画を策定する羽目となったのである。首長や行政相互の主張がかみ合わないことに加えて市民の間でも、灰溶融炉は各地で事故が多発するなど技術的にも未熟ではないか、あらたに80億円もの税金を投入して借金を次世代に残すのはいかがなものか、といった議論も噴出し、計画は絵に描いた餅となったのである。

Image4図②;2市1町のごみ量

Image5 図③:リサイクル率のグラフ

 それよりも何よりも、計画の前提となったごみの減量化や資源化が計画通りに
進んでいないという致命的な問題が明らかとなったのだ。①現在の焼却炉が古くなった、②処分場も満杯になる、③新しい溶融炉や焼却炉を作って灰を減らさないと、という三段論法は事実上破綻している。基本計画には申し訳のように、ごみ排出量減量化目標として平成22年度までに平成9年度比6.2%の削減、平成30年度までに同11.2%削減としたものの、基本計画作りに市民は全くと言って良いほど参加していないため、目標が設定されていることも十分周知されておらず、2市1町の市民の間には新たなごみ処理施設の建設問題に対する温度差が広がっていたのである。そもそも、20年でわずか11%の削減目標とはあまりにみみっちい。

 新年度を迎え、新たな基本計画が公表されるようだが、これもコンサルタントに委託して策定されたもので、どこまで市民が自分たちの問題として参加し、監視しているかは心許ない。

 こうした状況は全国各地で見られる課題である。一般廃棄物の処理は基礎自治体の重要な仕事であるが、それは、ごみ処理施設の整備以前に、どれだけ市民参加によって現状のごみ処理の問題点を明らかにし、将来の展望やビジョンを共有化して、問題解決に向けた対策を一緒に進めていけるかが問われている。

 新計画策定の裏では、新しいごみ処理施設の規模120t/日程度に縮小すべきだ、溶融炉より炭化炉の方がよさそうだ、民間委託も導入しては、といった議論が続いているようだが、それ以前にもっと議論すべき事がある。現在、この地域では、可燃物の割合が8割以上を占めており、その組成を見ると、紙ごみ、プラスチック類、生ごみ・木・藁などが大きな割合を占めている。まさに資源が煙と灰になっている。そうした実態をしっかりと見極めて、市民が自分たちの問題として新しいごみ処理のあり方を考えなければ問題の解決には繋がらない。

 学習会では、焼却炉に依存しないゼロ・ウェイストの事例も紹介した。国からの交付金の条件にばかり縛られず、市民参加で自立した廃棄物政策を立案することが問われている。そうすれば自ずとローテク、ローコスト、ローリスクをどう実現するか真剣な議論が出来るはずである。

 湖周地域はまさに諏訪湖をとりまく地域であり、地域の環境と産業を考慮した未来志向の廃棄物政策が検討されなければならないだろう。地域のごみ量、ごみ質を踏まえ、地域の人材や技術を活かして、市民が納得できるビジョンを描くことから始めて欲しい。そうすれば、みんなが活き活きとごみを減らして、資源化する行動に積極的に取り組むことになると確信する。ごみ処理計画を行政やコンサルタントに任せずに、将来の世代のためにも議会の役割、市民の役割を是非、果たして欲しい。諏訪から、長野初のゼロ・ウエイスト宣言が出されることを大いに期待したい。

*1)イルフプラザ
 「イルフ」という名称は、岡谷市出身の童画家武井武雄が「古い」という言葉を逆に読み、「新しい」という意味をつけたもので館の愛称である。集会施設や子供向けの施設が整っている。武井武雄の作品を集めた童画美術館も隣接している。イルフ童画美術館 http://www.ilf.jp/

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高速道路料金1000円で地球温暖化が加速するう!  青山貞一

 
 政府は高速道路料金1000円を開始し、全国各地の高速道路で交通量が3割から2倍と大幅に増加したことが分かった。

 大マスコミは、小沢代表秘書逮捕問題同様、高速道路料金1000円問題でも、国民はただ情報を垂れ流している。

 よく考えてみれば分かるように、京都議定書で日本政府が世界に公約した1990年に対比して二酸化炭素を2008年から2012年の間に6%削減する公約の達成がこれによりさらに遠のいた。

 一方で、地球環境問題でバカ騒ぎし、膨大な記事を垂れ流している大マスコミが他方で1000円で高速道路乗り放題を無批判で記事を垂れ流している様は、きわめて異常だ。
 

高速道路料金:「1000円」開始 県内通行量4割増

 ETC(自動料金収受システム)を取り付けた乗用車を対象に、高速道路料金を上限1000円とする大幅引き下げが始まった28日、県内の高速道路は昨年同期に比べ、通行量が約4割増加した。東北道でも、東北6県を中心に県外地域のナンバープレートを付けた、行楽客とみられる乗用車が多く見られた。

 東日本高速道路会社東北支社によると、同日午前0時から午後3時までに東北道西根インターチェンジ(IC)-松尾八幡平IC間を通行した車両は上下線で1万1500台(ETC利用でない車も含む)で、前年同期(8000台)に比べ44%増加した。東北地方の他区間も例年に比べ通行量は増えたものの、目立った渋滞はなかったという。

【山口圭一】

毎日新聞 2009年3月29日 地方版


 周知のように、日本は京都議定書における6%削減が達成できないばかりか、逆に二酸化炭素は13%も1990年に対比して増えている。

 日本政府は森林による吸収やいわゆる京都メカニズムなど、あれこれ姑息な方法を提案しているが、それらを総動員しても国際公約はまったく達成できそうもないのが現状であり実態だ。

 二酸化炭素が特に増えている分野は<石炭火力>と<自動車を中心とした運輸部門>と<民生・業務部門>である。1992年時点で全体の18%程度だった運輸部門は2003年度で21%、現在は推定でさらに超えているはずだ。運輸部門の85%-90%は自動車である。

 にもかかわらず、京都議定書の国際公約など何処吹く風とばかり、日本政府は高速道路料金を1000円として交通量が増えたと情報を垂れ流している。さらにそれをそのまま記事を書きまくっている大マスコミは一体なんなんだ!

 高速料金が1000円で乗り放題となったことで、一般道路から高速道路に切り替えた場合もあるだろうが、その多くは今まで遠出しなかった人々が新たに高速道路を使って遠出しているのであり、新たに走行量は間違いなく増えているはずである。

 となれば、今後2年間、政府・自民党の選挙対策的なバラマキ政策が続けば、間違いなく自動車由来の二酸化炭素は増加する。

 政府は百年に一度の金融危機だから、京都議定書、気候変動、温暖化なんてクソ食らえなのだろうか?

 それにしても相も変わらず政府・自民党が垂れ流す「大本営発表」を何ら識者らのコメントもなくそのまま垂れ流すマスコミは、情報操作による世論誘導以外のなにものでもない。政府広報はNHKだけで沢山だ!

 そもそもこのETC車への1000円料金は、国土交通官僚の天下り組織づくりと関係しているという情報もある。また民主党の道路政策のパクリとも言える。さらにフェリーなどがこの施策によって廃業に追い込まれる可能性すらある。

 マスコミは本来、それらの課題、問題点を徹底取材し、この種の自民党の選挙目当ての安直で、いい加減な施策を批判すべきであろう。

 底なしの日本の大マスコミの質の劣化には目を覆いたくなるものがある!

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なぜ、小沢代表側近なのか~長野ルートと小沢ルート  青山貞一

 前号では、「なぜ、政権交代前夜なのか」と題し、東京地検特捜部(以下、特捜部と略す)による小沢一郎民主党代表の公設第一秘書の逮捕を巡る疑義について述べた。

 本号では、「なぜ、小沢代表側近なのか」と題し、異例、異常な特捜部による今回の小沢代表第一公設秘書の逮捕劇について述べてみたい。

 まず「なぜ、小沢代表側近なのか」の理由について、特捜部は、①時効が近づいていること、②西松からの献金が突出して大きいことをメディアに説明していた。 しかしながら、これら2つのの理由は理由になるようで実は理由にならない。

 たとえば道路交通法違反の場合を例にとろう。

 覆面パトの車の前を乗用車が追い越し走っていったと仮定する。この道路の法定速度は40km/hである。Aの車は60km/hのスピードで覆面パト車の前を走って行った。そして次のBの車は80km/hので走っていったとする。この場合、警察は、80km/hのBの車だけを捕まえ60km/hを不問に付すことは本来許されるわけはない。当然、Bの車の主は不公平感を持つだろう。

 今回の事件では、当初はあくまで各政治家からの政治資金管理団体から総務省に提出された政治資金収支報告書に記載された献金額をもとにから出発している。したがって、小沢氏の政治資金収支報告書の献金掲載額や件数が多いというだけでこともあろうか片腕とされる公設第一秘書をいきなり逮捕することには違和感がある。また圧倒的に多い自民党幹部議員について不問に付すというのでは、公正、公平の観点から理不尽である。

 周知のように、件数で多いのは圧倒的に自民党幹部議員である。また前号のリストには掲載していないが、長野県の村井知事と静岡県の石川知事など知事も2つの政治団体による献金リストにいる。

 村井長野県知事の場合、政治資金収支報告書に記載された献金額はパーティー購入関連の20万円だけであったが、先に逮捕した西松建設関係者の証言で1000万円の選挙資金が村井知事サイドに渡っていたという特捜部のリークがある。なぜ、このリークがあったのかを含め後述する。

 上記が前提である。腑に落ちないのは、にもかかわらず、なぜいきなり小沢代表側近なのかということであり、謎が深まるばかりだ。

.......

 ところで、「なぜ、小沢代表側近なのか」について、日刊ゲンダイ2009年3月6日号の3面に興味深い記事がある。出所は特捜部捜査に詳しい司法関係者とある。

 地検特捜部、自民党ルートは視野にない綱渡り捜査
 長野案件が潰れて小沢案件に切り替えの舞台裏

が記事のタイトルである。記事の核心部分は次の通りである。

 特捜部捜査に詳しい司法関係者は次のように述べたという。

 「そもそも西松捜査は、”長野案件”(注:長野県村井知事の側近が自殺した例の一件、青山)で終わらせるはずだった。東証第一部上場の社長まで逮捕して、違法献金をもらった政治家を一人も暴かないのはバランスに欠くという考え方からです。ところが、連日聴取していた村井県知事の側近が首つり自殺してしまい、長野ルートは潰れた。この失敗に焦った特捜部は慌てて、小沢ルートに切り替えたのです。小沢秘書を逮捕したことで、目的は達成できた。それに年度末までに事件のケリをつける検察の捜査習慣からしても、起訴までの20日を計算に入れると、今週が逮捕のリミット。これ以上、捜査を広げ、長引かせる気はありません。仮にあるとしたら”謀略捜査だ”と検察批判の世論が高まったときだけです」(捜査事情通)

 私はご承知のように「独立系メディア」の2月26日から2月27日にかけ、以下の3つの論考を書き掲載していた。

 いずれも村井長野県知事の側近中の側近の右近氏が任意で2009年2月21日、22日、23日の3日間、連続して東京地検特捜部の厳しい事情聴取を受け、事情聴取が終わった翌実の2月24日、長野市の電柱で首つり自殺していたというものだ。

●特集:西松建設裏金供与と村井長野県知事側近の自殺
◆青山貞一:①村井長野県知事の側近中の側近、首つり自殺
◆青山貞一:②村井知事周辺に多額選挙資金供与、西松建設関係者供述
◆青山貞一:③ダンマリ決め込む長野県議会、知事側近の自殺に関連し 

 この首つり事件は、全国紙ではほとんど大きく報じられなかったが、田中康夫知事時代、特別職、地方公務員として長野県に大学教授と兼務で勤務していていた私としては、西松建設の裏金が村井仁氏の長野県知事選挙の資金として1000万円渡されていたという特捜部のリークに非常に注目していたのである。

 何と、村井長野県知事は、政治資金規正法に基づく政治資金収支報告書ではパーティー券20万円分を政治団体に買ってもらっていただけとしており、これは献金リストにも入っていた。

 パーティー券20万円分だけで特捜部がその後知事となった村井長野県知事の側近中の側近の右近氏をたとえ任意とはいえ3日間も事情聴取するのは??と思っていたのである。

 すると、2月26日の深夜になって一部新聞が、「特捜部は逮捕した西松関係者から政治資金収支報告書に掲載されていない1000万円の多額な選挙資金が村井知事側に供与されていたことをつかみ、側近中の側近を任意で地検に呼び事情聴取していた」ことがわかったのである。

 もし、西松建設側から村井県知事候補(当時)に渡った1000万円の裏金献金が特捜部が右近氏の自殺をいぶかしがるメディアや県関係者らへの対応としてリークしたように事実であるとすれば、この長野ルートは明白な政治資金規正法違反となる。

 だがにもかかわらず特捜部は、長野ルートを立件しなかった、、いや出来なかったかと言えば、事情聴取した側近中の側近の右近氏が2月21日、22日、23日の実に3日に及ぶ事情聴取後の2月24日、こともあろうか長野に帰ってから首をつって死んだからである。当然、右近氏が死んでしまったので、当然のこととして起訴もできず、公判が維持できないと特捜部が立件を断念したのである。

 そうこうするうちに平成20年度末(3月31日)が近づいてきた。

 特捜部捜査に詳しい司法関係者の言によれば、上場企業の西松建設の社長まで逮捕した特捜部は、当初、長野ルートで幕を引く予定だったが、その思惑が消えてしまった。

 そこで急浮上したのが、政治資金収支報告書ベースで献金額が突出して大きい小沢ルートに切り替えたということになる。

 年度末まで一ヶ月弱しかないなか、東京地検特捜部は、焦って小沢ルートの立件に走る。

 そこでは、森喜朗、尾身幸次、二階派、加藤紘一、藤井孝男、川崎二郎、山本公一、旧橋本派、山口俊一ら自民党の総理、大臣、要職経験者などを捜査し立件化する時間的余裕がない、ということで圧倒的に数が多い自民党の代議士、すなわち自民ルートの捜査はなしということになったというのである。

.....

 だが、もとより西松社長を逮捕した時点で、特捜部が村井長野県知事の長野ルートに絞り、それが右近氏の自殺に焦り、そこで急遽、立件案件を小沢民主党代表の小沢ルートに変えたとすれば、特捜部の考えはあまりにも、安易であり、保身的なものでしかないと言わざるを得ない。

 要約すれば、3月末までに、逮捕した容疑者を起訴に追い込むとした場合、当初予定した長野ルートが村井知事の側近の自殺で潰れたため、逆算、すなわち残りの小沢ルートで起訴し立件するとなると、当該問題の担当者であった公設第一秘書の逮捕は3月上旬となるというのが特捜部の筋書きのようである。

 ちなみに、通常、ある者を警察か地検が逮捕した場合、遅くても最大22日目に地検は起訴、不起訴、起訴猶予、さらに略式命令請求のいずれかを決めなければならない。具体的には、大久保公設秘書は3月4日に逮捕されたので、東京地検による起訴、不起訴、起訴猶予、さらに略式命令請求の判断は遅くても3月26日までに決めなければならない。

 という意味では、上記の「捜査事情通」の話しは辻褄が合うのである。

 しかし、上記の特捜部の理由は、あまりにも役所仕事的な理由であって、自らの保身によりこともあろうか政権交代前夜の民主党代表である小沢一郎議員を逮捕することになりやしないだろうか? これについては前号で詳しく書いたので、本号ではこれ以上触れない。

 一言で言えば、これほど重大なことが東京地検特捜部のメンツや保身で勝手に決められて良いのかということだ。検察の保身によって、実質的に西松からの献金をもらっている自民党議員(全体の8割超)を野放し、大物議員らの秘書の事情聴取すらないというのは、きわめて公正さを欠く。

 特捜部の事情通は、先の証言のなかで、特捜部は「これ以上、捜査を広げ、長引かせる気はありません。仮にあるとしたら”謀略捜査だ”と検察批判の世論が高まったときだけです」と述べている。

 今でも多くの識者は有権者は、今回の特捜部のやり方に批判し、怒っている。、「検察はなぜかおかしい」という国民や識者の声は日増しに増えていることから、特捜部は単に小沢代表の公設第一秘書である大久保氏を何が何でも起訴に追い込むことではなく、司法の信頼を得るためにも、最低限、自民ルートの議員らへの事情聴取を行わなければならない。

 3月5日、くだんの自民党の大物議員は、こぞって西松側に献金相当額を返却する旨をメディアに話している。もし、それで不問に付されるなら、当然、そのことを以前から言明している小沢代表も受けた献金相当額を西松側に返却すればよことになる。

 いずれにせよ、今回の特捜部の捜査には多くの疑義がある。

 参考・引用
 日刊ゲンダイ 2009.3.6号

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なぜ、政権交代前夜なのか? 結果的に悪政に加担する東京地検特捜部  青山貞一 

なぜ、政権交代前夜なのか
結果的に悪政に加担する
東京地検特捜部

青山貞一 Teiichi Aoyama  March 2009

独立系メディア「今日のコラム」
 民主党小沢代表の公設第一秘書をいきなり逮捕した東京地検特捜部だが、国民が半世紀に及ぶ自民党のやりたい放題の悪政から、自らの手で総選挙により解放する「前夜」に、敢えて強制捜査に踏み切ったことに対し、多くの識者が疑問を呈している。

 たとえばO氏は、「今回の容疑は3年以上前の話で、なぜ今なのか違和感が残る。この時期の逮捕は国策捜査と言われかねない」と述べている。

 さらに政治評論家のY氏は、「国民にとっては悪夢のような展開です。自民党政権が続くということは、2大政党制がかけ声倒れに終わり、腐敗堕落による一党独裁が続くということです。消えた年金に象徴されるようなごまかし政治が続き、官僚機構がのさばり、一部の政治家と企業だけがいい思いをする癒着政治が続くことになる。ヘタをすればあと10年も暗黒政治がつづくことにもなりかねません」と述べる。

 言うまでもなく東京地検による今回の一件により、国民の間にいまだかつてなく盛り上がっていた政権交代の機運は完全に冷水をかけられた。

 それでも罪は罪、罰は罰という人はいるだろう。また自民党やNHKはじめ大マスコミは「国民に対し政治とカネにまつわる政治家の信頼を失墜させたことは間違いない」などと、「したり顔」の論評はある。

 また西松建設による政治家への資金のバラマキは国会議員、知事を含め数10人に及んでいるなか、なぜ小沢一郎だけなのかという問いかけに、東京検察特捜部は小沢陣営に渡った額が突出して大きいからなどと言っているようだ。

 しかし、小沢氏自身が3月4日朝の記者会見で述べているように、もし、あらかじめ企業からの献金であれば、「陸山会」でなく企業献金が認められている政党への献金として扱えばよいのである。そもそも数年間で2100万円という献金額に、いきなりの逮捕と強制捜査を敢えてこの時期に行うことが大いに問われるだろう。

 大メディアは検察のリークを鵜呑みにして、2100万円の献金額を突出しているなどといっている。しかし、これは数年間の総額であり、年間額にしてみると数100万円規模である。小沢代表系への毎年の個人、団体を問わず献金総額(数億円)からして、突出して大きいなどと言える額ではないだろう。連日、代目ディアが事実報道と言いながら、ことさら検察がリークする情報を垂れ流していること自体、いつものように「情報操作による世論誘導」となっていることを忘れてはならない。

 たとえばここ数ヶ月、日本の大メディアが神様のように拝みたてまつる米国のオバマ大統領が大統領候補だったとき、オバマ陣営が集めた政治資金は総額約7億ドル、約600億円であった。その9割は一般有権者からの献金であるが、残りの一割はかのリーマンブラザースはじめ金融投資銀行はじめ企業やロビイストなどの大口献金者からのものだった。 

 それよりもなによりも、この時期にいきなり小沢代表の側近を逮捕し、強制捜査で家宅捜査を大マスコミ注視の中で大々的、センセーショナルにに行うことが、民主主義に関しては後進国並みの今の日本社会全体に対し、いかなるマイナスの影響をもたらすかは計り知れない。それひとつをとっても今回の東京地検特捜部がしていることは異例であり、異常である。

 もとより西松建設問題は以前から指摘されていたことである。くだんの2つの西松建設関連の政治団体は2006年に解散している。もし、虚偽記載など政治資金規正法上の疑義があるなら、担当者を任意で地検を呼び「修正申告」を勧告すれば事足りたはずだ。

 そもそも政治資金規正法における政治資金収支報告書の虚偽記載の罰則は、5年以下の禁固刑あるいは100万円以下の罰金である。もし、容疑を認めた場合には裁判を伴わない略式命令請求、通称、起訴起訴により数10万円程度の罰金、仮に当人が否認をし続け、起訴された場合でも執行猶予付きの判決が妥当のものである。

 何をさておき、ここで重要なことは、国民から見放され内閣支持率が10%そこそこに低下した麻生政権や自民党、総選挙、解散から逃げまくっていた麻生政権にとり、この時期での小沢代表側近の逮捕劇が与える意味だ。政権与党にしてみれば、今回のはなばなしい逮捕劇は、まさに、これ以上ない絶妙のタイミングといえるものであり、小沢代表ならずとも検察のしていることは異常としかいいようもないものだ。

 いうなれば、実質的に独裁政権が半世紀続き、「政」「官」「業」さらには「政」「官」「業」「学」「報」、すなわち政治、官僚機構、業界、そして御用学者と御用メディアが結託し、税金を食い物にしてきた日本で、まさに100年に1度の政権交代の前夜を見計らって東京検察は、故意に意図的に政権交代のシンボルである小沢代表側に決定的なダメージを与えたことになる。

 永年、「政」「官」「業」「学」「報」による情報操作による世論誘導によって格差社会に陥れられ、正直者がバカを見続けてきた日本国民がやっとのことで自民党見限った。もし、ここで総選挙を行えば、自民党が歴史的大敗北することは間違いなかった。

 それを考えると、今回の東京地検特捜部の小沢代表側近への対応は、民主党ならずとも、東京地検による「国策捜査」であると言われても仕方がない。 もとより、政権交代直前に政敵を逮捕するというやり方は、東南アジア諸国の政治的後進国で起きていることであり、到底G7の国で起きることではないだろう。

 政権交代がかかる選挙直前での政敵やその周辺の逮捕はフィリピン、マレーシア、ミャンマー、シンガポールなど東南アジア諸国でよく起こる政治的謀略を連想させるものである。

 かつてUPIの記者で現在ビデオ・ジャーナリストの神保哲生氏は、「民主主義が未成熟な国では、権力にとっての最大の武器が軍事力と警察です。それに歯向かえばメディアも市民も殺されてしまう。そのため、誰も声を上げず、政治権力は益々暴走するのです。民主主義の進んだ先進国なら、仮に権力が暴走したとしても、市民社会は容認しない。メディアが真実を暴くでしょうし、検察は後半維持できません」と述べる。

 小沢代表は自民党政治家に忌み嫌われている。また大のマスコミ嫌いもあり大マスコミにも評判は良くない。だが、その本当の理由は、自民党の恥部にあたる政治手法を知り尽くしていることにあるからだ。他方、小沢氏は国政、地方を問わず選挙に強いこともある。

 さらに小沢代表は、いうまでもなくブッキラボーで愛想はない。だが小沢代表は日本にはめずらしいブレない、信念を持った政治家でもある。

 しかし、麻生はじめ小泉など同じ世襲議員でもブレまくり、庶民、国民など社会経済的弱者のことはそっちのけで弱肉強食の社会、格差社会を平然とつくってきたインチキ政治家とはまるで違う。

 半世紀に渡り政官業学報の癒着で利権を欲しいままにしてきた日本政治に、小沢代表は、日本社会を変えるためには自分が変わらなければダメとして政治生命を賭け、政権交代に挑んできた男だ。

 今回の一件が自民党の延命に手を貸すこととなり、先進国でも希な自民党の悪政がさらに5年、10年、15年と続く可能性もないとはいえない。

 あれこれ酷く言われながらも、民主党をここまで育ててきたのは小沢一郎の功績である。しかし、公設秘書逮捕問題への対応を一歩間違えば、今まで政治生命をかけ努力してきたことがすべてパーになる。それだけにすまない。日本の民主主義にとっても深い傷を負うことになり、場合によっては致命傷となるかも知れない。

 そうなれば、まさに政権交代なき日本は「暗黒社会」となる。

 確かに言えることは、今回の一件は当初センセーショナルであった。しかし、国民が冷静に今回の一件を考えれば、日本の将来の本筋は利権と手あかにまみれた自公政権の延命にあるのではなく、自らの手で何はともあれ政権交代を実現することにあると再度理解するはずだ。

 もちろん、小沢代表を含め今の民主党は第2自民党的な側面をもっている。多くの課題もある。だからといって日本の暗黒でやりたい放題、国民を愚弄し、格差者社会で生活苦に追い込む自民党政治このままを継続させることがあってはならない。

 ここは国民の認識、民度が大いに問われることになる!

 参考・引用
 日刊ゲンダイ 2009.3.5号
 

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原発はクリーン」は不適切!日本広告審査機構が裁定  青山貞一

 日本のテレビ、新聞など大メディアがスポンサーの顔色を見てニュースの取捨選択や番組制作をしていることは、今やよく知られるところである。

 今年3月の決算では、在京テレビ局の多くがテレビ事業単独で赤字が見込まれている。景気が極度に悪化してくると、一層、新聞社やテレビ局がスポンサーに気を遣うことが憂慮される。
 
 「独立系メディア」では、以前から日本の大メディアが海外で起こった原発事後や核燃料廃棄物再処理などに関連した事故を、まともに報道していないことを実例を挙げ批判してきた。

 ※独立系メディア アーカイブ<原発・核>
 ※青山貞一:スウェーデン原発事故と日本のメディア
 ※青山貞一:英セラフィールド再処理施設から漏れ出る放射能汚染(1)

 そんな中、社団法人日本広告審査機構(通称、JARO)が東京電力など電力会社でつくる電気事業連合会(通称、電事連)が雑誌に掲載した広告に関連し、原発がCO2を出さないというだけで「クリーン」であるという表現は適切ではない、という裁定を電事連に出していたことが分かった。この裁定は昨年11月25日付で出されていた。

 下はそれを伝える西日本新聞の記事である。

「原発はクリーン」不適切と裁定 電事連広告にJARO裁定

西日本新聞 2009年1月30日 20:10カテゴリー:社会

 電気事業連合会(電事連)が雑誌に掲載した「原子力発電はクリーンな電気のつくり方」という広告のコピーについて、日本広告審査機構(JARO)が「原子力発電にクリーンという表現を使うことはなじまない」と裁定し、電事連に表現の再考を促していたことが30日、分かった。

 裁定は昨年11月25日付。JAROが原発の広告について、再考を求めるのは異例という。

 JAROは神奈川県の男性の苦情申し立てを受け、学識経験者7人でつくる審査委員会で審議。「安全性について十分な説明なしに、発電時に二酸化炭素(CO2)を出さないことだけをとらえて『クリーン』と表現すべきではない」と結論づけ、電事連に通知した。

 申し立てによると、広告は昨年4月発行の雑誌に掲載された。男性は翌月、JAROに「事故時の放射能汚染の危険性があり、到底クリーンとは言えない」と申し立て。電事連は「発電の際にCO2を出さないという特長をクリーンと表現した」と説明していた。

 裁定には法的拘束力はなく、広告内容を変更するかは広告主の判断に任される。電事連は「裁定を受けたのは事実だが、中身についてはコメントできない」としている。

 神奈川県の苦情申し立て人が言われる通り、「事故時の放射能汚染の危険性があり、到底クリーンとは言えない」ことは言うに及ばない事実である。

 日本でも東海村のJCO事故はじめ過去、数多くの原発事故が起きている。

 海外では米国のスリーマイルズ島原発事故、ウクライナのチェルノブイリ原発事故など深刻な原発事故が起き、広範囲にわたり深刻な放射能汚染が起きている。

 さらに原発で使用済みの核燃料の再処理を巡り、イギリスのセラフィールド核燃料処理工場では膨大な量のプルトニウムが環境中に放出されている。

 ※主な原発事故

 今回、JAROが出した「原子力発電にクリーンという表現を使うことはなじまない」という裁定は、至極もっともなことである。

 冒頭述べたように、日本の新聞やテレビなどの大メディアが一大広告主である電事連や原子力産業会議、さらに東京電力などに気を遣い、原発事故や核燃料サイクルに関わる様々な問題をまともに報道せず、取り上げてこなかったことこそ重大問題であるといえるが、今回のJAROの裁定は遅きに失したとは言え、広告主だけでなくメディアに対しても、大きな影響を与えるものと期待できる。

 電力会社は一般の私企業と異なる公益事業であり、電気事業法にもとづく電気の供給義務だけでなく、国民の健康、安全、環境問題に正面から取り組むべき義務を負っている。

 にもかかわらず、全国各地の原発立地や原発稼働に関わる問題では、情報の公開、説明責任、企業の社会的責任を果たしているとは言えない。各地で起きている原発訴訟をみても、そのことが言える。

社団法人日本広告審査機構
Japan Advertisement Review OrganizationJARO(ジャロ))

 JAROは日本の社団法人であり、広告に対する苦情や疑問点(ウソ、誇大、わかりにくさなど)を受け付け、審査する機関である。公正取引委員会の様に法的措置を取るのではなく、制作者に注意を呼びかける。JAROをもじったテレビCMでよく知られている。なお、法的な処置は取れないためそのような場合は公正取引委員会が好ましい。

 事務局は東京(東日本地区)、大阪(西日本地区)の2カ所に所在するが、名古屋(東海地区)、札幌(北海道地区)にもその地域専用の電話を設置している。

 公共広告機構(AC)、放送倫理・番組向上機構(BPO)同様、CMのスポンサー企業が広告を自粛した際やCM枠が余った際にJAROのCMが代わりに放送されることが多く、震災、天皇崩御、テロの際や深夜・早朝で頻繁にCMを目にすることがある。ACやBPOのCMはNHKでも放送されることがあるが、JAROのCMはNHKでの民間の広告放送がないため、放送されていない。

 JAROには年に約9,000件の苦情が寄せられ、広告主に改善を求める。ただし政治・宗教関連及び裁判中の広告は取り扱えない。また、競馬予想会社の広告など、ギャンブルに関する広告も扱っていない。

 現在の理事長は、時事通信社元社長の村上政敏。

 JAROの裁定には法的拘束力はない。しかし、電事連は原発=温暖化防止=クリーンなエネルギー源という、短絡的な情報操作による世論誘導的な広告を厳に慎むべきである。

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廃プラリサイクル施設周辺の健康被害事件(杉並・寝屋川)をどう捉えるか 池田こみち・鷹取敦

 東京都二十三区の家庭ごみの処理・処分は、2000年3月までは「東京都清掃局」が一括して行い、2000年4月以降は各区が収集し、「東京二十三区清掃一部事務組合」が焼却等の中間処理を行い、焼却灰・飛灰と燃やさないゴミが、東京湾中央防波堤にある「東京都」の最終処分場に、埋め立てられている。

 杉並区の不燃ごみ(主にプラスチック類)は、杉並区井草4丁目の区立井草森公園に設置された中継所(杉並中継所)に集められ、圧縮されて、大型のトラックに積み替えられ、最終処分場に搬入されている。

 杉並中継所の周辺では、施設の稼働直後から深刻な健康影響の訴えが多発した。

 この問題については、青山貞一教授(武蔵工業大学環境情報学部教授)が、以前に独立系メディア「今日のコラム」(以下の3つのURL)に紹介しているので、本稿末尾で紹介する記事と合わせてご覧頂きたい。

■「杉並病」を風化させないために~研究者らで現場を実査~その1
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col9901.html

■「杉並病」を風化させないために~研究者らによる調査を巡る議論~その2
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col9902.html

■<今日の一枚>「杉並病」発症の現場
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-todayone11.html

 2008年より「東京二十三区清掃一部事務組合」では、廃プラを「不燃ごみ」から「可燃ごみ」に変更することとなった(開始時期は区によって異なる)。多くの区では容器リサイクル法による一部のプラスチックの資源物としての回収を始めたため、一部のプラスチックはリサイクルされ、残りのプラスチックが焼却処理されている。廃プラ焼却の問題については別途大きな問題があり、以前から何度も紹介してきた。

 いずれにしても東京都二十三区では廃プラがそのまま最終処分場に搬入されることはなくなるため、杉並中継所で圧縮・積み替えを行う必要は無くなった。そのため杉並中継施設は、この2009年3月に廃止されることとなっている。これを報じる毎日新聞の記事によると、杉並中継所周辺では、今でも健康影響に苦しんでいる人がいるという。

 一方、大阪府寝屋川市では廃プラリサイクル施設の周辺で、杉並中継所周辺と似たような健康被害の訴えが多発して裁判となり報道でも何度か紹介されている。杉並中継所同様にプラスチックの圧縮過程に起因するものではないかと疑われており、同じ毎日新聞の記事に報じられているので、以下に紹介する。

 記事にもあるように、廃棄物はリサイクルすることが「いいこと」とされ、全国各地に同様のリサイクル施設が多数建設されている。しかし、少数派とはいえ、杉並や寝屋川で被害者が出ていることに目を向けずに、リサイクルは「是」としてこうした施設をつくり続けることには問題がある。昨今の廃プラスチック焼却の是非を巡る議論と一緒になって、焼却かリサイクルかが二者択一のように言われるのも問題だ。

 消費した後の製品を焼却してもリサイクルしても環境への影響は少なからず発生する。根本的な問題は、いかにごみ処理(焼却・破砕・圧縮等を経たリサイクルなど)をしなくて済む製品作りを進めるか、そのための仕組み作り、制度づくりが不可欠であり、本来の生産者責任(いわゆる拡大生産者責任)こそしっかりと問われるべきである。現状のように、すべてを消費者や自治体の「処理」に依存できるシステムは早急に見直しが必要である。

 この種の施設建設をめぐり地域分断や地域紛争が起こることは不幸なことであり、地域住民の闘いがより本質的なごみ政策の見直しにつながっていくことを望みたい。なお、寝屋川事件では、原判決があまりにも不公正かつ不見識であるとして原告側が控訴している。杉並でも寝屋川でも、裁判では施設の建設や稼働を認めた行政がその背後にあって、被害実態や被害者の救済に対する判断が軽視されがちであることが課題である。その意味でも、第三者的に被害者を支援する研究者や専門家の関与が鍵となる。

毎日新聞
http://mainichi.jp/life/ecology/news/20090118ddm041040094000c.html
ニッポン密着:「杉並病」ごみ施設3月廃止、被害今も 鈍い行政、住民不信感

 東京都杉並区で、多数の周辺住民が健康被害を訴えた「杉並病」の原因となった不燃ごみ中間処理施設「杉並中継所」が今年3月廃止される。稼働から13年、被害者の苦しみは続くが、杉並と同様に廃プラスチックを扱う大阪府内の施設周辺では、杉並病に酷似した症状を訴える住民が続出して問題化している。ごみを大量に生み続けるニッポン。杉並病問題は終わりではなく、始まりだったのではないか--。

 ベランダに布団を干す家が多い晴天の日、木村洋子さん(67)宅の窓は閉め切られていた。干した布団で寝るとせきや湿疹(しっしん)が出る。付着物質に反応するという。月10万円の年金暮らし。「何の楽しみもない。生きているだけ」と言った。

 中継所から約500メートル離れた練馬区の2階建てに住む。夫を胃がんで亡くし1人暮らし。中継所が稼働後間もなく勤務先の百貨店で立っていられないほどの疲労感に襲われ、目がかすんだ。帰宅後は食べた物を吐き、体中に赤い斑点もできた。過労と考え、98年、定年2年前に退職した。

 00年、居間で倒れ、救急車で運ばれた。目が見えなくなり体が揺れてベッドをつかんで耐えた。めまいの診断で入院後、自宅に投げ込まれた印刷物で「杉並病」を初めて知った。木村さんは、当初、中継所問題を知らなかった「被害者」だ。区職員に病状を訴えたが、その後連絡はなかった。

 宮田幹夫・北里大名誉教授の診断は化学物質過敏症。杉並区の依頼で被害者の集団検診をした経験を持つ宮田教授は「自律神経や眼球運動、視覚検査で異常が出ており、中継所近くの被害者と同じ症状。発症時期から考えても中継所の影響は間違いない」と語る。

 杉並病の特徴の一つは、被害者がありながら原因物質はいまだに特定されていないということだ。中継所から多くの化学物質が発生しており、国の公害等調整委が「特定できない化学物質」としたのに対し、都の調査委員会が00年に報告したのは「不燃ごみを処理する際に発生した硫化水素」で、07年の東京地裁判決も追認した。

 しかし、硫化水素説は揺らぎ始めている。自殺の手段として知られるが古くから温泉で発生しており、複数の医学・化学者は「今も続く症状は説明できない」と、広く化学物質説をとる。調査委会長の柳川洋・自治医科大名誉教授(公衆衛生)は「中継所稼働後の数カ月間、硫化水素が出たのは間違いなく主因だと判断した。しかし、その後の健康被害は調べていないので分からない」と振り返る。

 原因追究も含め一連の行政側の対応に被害者側が不信感を募らせ、多くが補償を申請しなかった。そこには、科学・医学的知見が定まっていない被害にどう対
応するか、決め手を欠く行政の姿がある。

 大阪府寝屋川市。環境NGO(非政府組織)代表で地元町内会長の長野晃さん(65)は「まさか足元で」と嘆いた。知人に杉並中継所のデータ調査を依頼された際、プラスチック圧縮過程で化学物質が発生する事実に驚いた経験があった。その3年後、地元自治体などから集めた廃プラを加工する民間施設が近くにでき、寝屋川市などが共同運営する廃プラ中間処理施設も昨年稼働した。隣接する施設の間に立つと甘酸っぱいにおいが鼻につく。地元では「廃プラ臭」と呼ぶ人もいる。

 民間施設が運転を始めた翌年の06年夏、津田敏秀・岡山大教授(環境疫学)が約1500人を対象に実施した健康調査では、施設から700メートル以内の住民は2800メートル付近に比べ、湿疹の発症が12・4倍、目の痛みが5・8倍になる結果が出た。左半身がしびれたまま食べ物を吐き続けた20代の女性もいる。

 しかし、住民による2施設の運転差し止め請求訴訟は昨年9月、大阪地裁が「化学物質は排出されているが、健康被害は認められない」と棄却(住民側控訴)。市や府も一貫して被害者の存在を認めず、住民への疫学調査もしていない。

 「病因物質の特定より、施設周辺で症状が多発している事実が優先ではないか。水俣病など公害の拡大は行政の放置の歴史だった」

 津田教授の指摘が杞憂(きゆう)と言い切れるかどうか。

 廃プラの中間処理やリサイクル施設は全国で700を超え、増加を続けている。
【宍戸護】 

◇跡地に廃プラ施設、区長は「設置せず」
 山田宏・杉並区長は、中継所跡地に廃プラ中間処理など化学物質を排出する施設は設置しない方針を明らかにした。東京都から施設を移管された際、20年度まで「ごみ施設」として使用するという条件があるが「現実に健康被害に悩む人たちがおり、同じような施設では廃止の意味がない。清掃関連施設として幅広く考える」という。

==============

■ことば
◇杉並病の経緯

 収集車が地域で集めた不燃ごみを圧縮して東京湾岸の処理センターに運ぶための施設「杉並中継所」が96年春に稼働後、周辺住民120人以上が目やのどの痛み、皮膚炎、倦怠(けんたい)感などを訴え、「プラスチックの圧縮過程で発生した化学物質が原因で健康被害に遭った」と主張した。中継所は00年に東京都から杉並区に移管された。02年には国の公害等調整委員会が申請者18人のうち14人の健康被害との因果関係を認めたが、これまで被害補償された人はいない。

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悪夢のブッシュ8年、腐っても鯛となれるかオバマ新政権  青山貞一


悪夢のブッシュ8年
腐っても鯛となれるか
オバマ新政権


青山貞一


掲載月日:2009年1月22日

■ブッシュ政権、悪魔の8年間

 米国と言えば、ブッシュ大統領の8年、とくに「9.11」と呼称される2001年9月11日以降、米国はいわゆる単独行動主義を鮮明にし、アフガン、イラクに大量の軍隊を投入した。しかもブッシュ政権には、大統領自身がそうであるように石油、天然ガス利権に満ちた閣僚が多数存在していた。

 
振り返ってみると、ブッシュ政権の8年間は、米国民のみならず世界各国のひとびとにとり「悪魔の8年」であったに違いない。世界はわずかひとりの人間に生活、環境、経済、金融はては戦争でかき回されたものだ。

 
これは第二次世界大戦の欧州におけるナチス・ドイツのアドルフ・ヒットラー以来の事かも知れない! よくもまぁ、米国民はこんな酷い大統領を選んだ、と思うが、同じ事がドイツのヒットラーについても言えるから、まさに歴史は繰り返すのだろう。

 
とりわけ世界各国を巻き込み「対テロ戦争」、「テロとの戦い」の名の下に行われたアフガンそしてイラク戦争は、なんのことはない、ブッシュ政権とその仲間によるエネルギー新植民地主義、さらにエネルギー新帝国主義とでもいえる侵略戦争の様相を強めたものであったと云っても過言ではないだろう。

◆青山貞一:長編コラム 正当性なき米国のイラク攻撃
◆青山貞一:エネルギー権益からみたアフガン戦争、「世界」、岩波書店 

 しかも、ブッシュ政権はアフガンやイラクへの米軍駐留費や戦後復興費用の多くを日本に求め、日本政府はろくにまともな国会審議をするまもなく、これに応じている。以下の申し入れはいずれも私達が日本政府に対しおこなったものである。

◆正当性なき米国のイラク攻撃への日本政府の支持撤回の意見申し入れ  
◆日本政府へのイラク戦後復興拠出の不支持の意見申し入れ
◆自衛隊イラク派兵を勇気を持って断念させる意見申し入れ  

 
さらに2008年12月も押し迫ってからイスラエルによるガザ地区への衝撃的な殲滅攻撃は、ブッシュ政権の了解なしに行われるはずもないものであった。事実、2009年1月19日、ブッシュ政権の終焉とともに、ピターッとガザ攻撃は停止した。その間、何の罪もない幼児、子供、おとり寄りを含む1300名もの命が一方的なイスラエル軍の攻撃により命を落としたのである。

◆青山貞一:イスラエルが攻撃を突然止めた2つの訳
◆青山貞一:「ならず者国家」イスラエルは、いかに軍事大国化したか?

 
数年前、「サブプライムローン」という言葉を聞いたとき、それは一見して米国低所得者層への住宅政策の一種のように思われた。サブプライムローンは不動産担保商品とよばれたが、2006年債券化され世界中にまかれた「サブプライムローン」の価値が急激に下落、2007年になって「サブプライムローン問題」が顕在化するに及んだ。

青山貞一:<緊急解説>米サブプライムローン問題、一層の深みに

 
そして2008年秋の米国大手投資銀行、リーマンブラザースが倒産するに及んで、この「サブプライムローン」システムは低所得者層にリーズナブルで良質な住宅を提供するための政策ではなく、結果的に米国の格差社会を拡大し、世界中を金融危機に陥れる時限爆弾であることが分かったのである。

 
それより前、世界的な株安が進行し、米国を中心としたヘッジファンドや投資銀行は先物原油や先物穀物などに投資先の照準を絞った。これにより原油価格、ガソリン価格、灯油などの価格が世界各地で急騰し、世界中の人々の生活を窮地に追い込んだ。

 
さらに問題はこれだけではなかった。上記の先物取引、すなわち従来のデリバティブに加え、クリントン政権末期に議会がこぞって賛成した金融票品の自由化の結果できたCDSが、あらゆるものを投機、賭の対象としてしまったのである。その意味ではクリントンにも大きな責任があると言える。

 ※CDS クレジット・デフォルト・スワップ (credit default swap)
    - クレジットデリバティブ商品の一種。


 CDS関連商品の元本想定金額の世界総計

  • 2001年6月末 6315億$
  • 2001年末 9189億$
  • 2002年末 2.2兆$
  • 2003年末 3.8兆$
  • 2004年末 8.4兆$
  • 2005年末 17.1兆$
  • 2006年末 34.5兆$
  • 2007年6月末 45.5兆$
  • 2007年末 62.2兆$
 上記を見れば分かるように、バブル絶頂期の2007年末にはCDS関連商品の元本想定金額は、全世界で実に6,220兆円にも達していたことが分かる。

 
ブッシュ政権になって金融取引に関わる規制は一層緩和され、史上空前のバブルに突入した。そこではカネがカネをよぶ空前の金融経済が我が物顔で跋扈していたのである。

 すべてが右肩上がりで価格上昇するとすれば、持ち金の10倍、20倍はおろか100倍、200倍のデリバティブを行ってもリスクは感ぜず、逆に一夜にして億万長者となれるという夢に酔いしれたのである。

 
だが、リスクを負うことなく巨大な利益を得られる道理がない。

 
いつの世にあっても、このような錬金術は何時までも続かない。まして米国だけでなく世界中の投資家が引き時をわきまえないなかで、突如、バブルがはじけ、一気に100年に一度の金融危機が襲来したのである。
 
 
これらは、自分たちの私利私欲のために世界各国をアフガン、イラク戦争に巻き込んだブッシュ大統領や閣僚が、抱え込んだ米国の財政赤字解消策と無縁ではない。すなわち、ブッシュ政権は、巨額の戦費を拠出するためにバブル景気、それも実体経済と無縁にカネを捻出する金融資本主義的バブルを徹底して推し進めてきたのである。

 
かくして2008年春に始まった「サブプライム・ローン・バブル」の完全崩壊に端を発する株価の激落は、機関投資家を先物原油や先物穀物への投資に向かわせた。その結果、本来1バレル当たり50-60米ドルであった原油を7月には147ドルまで暴騰させたのである。エネルギー権益に満ちたブッシュ一族は実はここでも利権を得ていたのである。

◆青山貞一<緊急報告0>外交なき「油上の楼閣」ニッポンの行く末は暗澹
青山貞一<緊急報告1>まったなし!「油上の楼閣」を崩壊する原油高騰
◆青山貞一<緊急報告2>世界的株下落が投機マネーを先物原油に向ける
青山貞一<緊急報告3>今後も原油先物価格の高騰は続くのか?
青山貞一<緊急報告4>原油価格が下落してもガソリン価格は依然高値!


 
本来、世界中の生活や生産のもととなる原油を投機の対象としたWTI先物原油へのヘッジファンドなど機関投資家のカネの集中を米国政府は監視し、規制すべきであった。実際、米国下院の民主党はそのような法案を提出していたが、ブッシュ政権は法案化を阻止し、それがきっかけとなり先物の原油や穀物価格は暴騰したのである。

◆青山貞一<緊急報告0>外交なき「油上の楼閣」ニッポンの行く末は暗澹

 
同時期、ブッシュはガソリンにエタノールを混合させる燃料をトウモロコシなど穀物を原料に製造する政策を具体化した。その結果、先物穀物価格が暴騰し、それに端を発した食物価格の高騰は、貧しい途上国の人々だけでなく、格差社会のもと日々の生活もままならない人々を直撃した。

◆青山貞一:世界的な穀物・原油暴騰の元凶は米国だ

 
間違って当選したブッシュだが、その後の8年を見ると、ブッシュがしたことの多くは、無謀な規制緩和による弱肉強食の大企業や金持ちの徹底優遇、中東の天然ガスや石油を世界を巻き込む侵略戦争による搾取、そのための巨額の戦費による財政悪化、挙げ句の果ては米国初のサブプライムローンのシステム崩壊による世界的金融、経済危機の招来と、踏んだり蹴ったりであった。

 
これは世界各国に対し劇的な悪影響をもたらすだけでなく、本場米国の国民にあっても同様だったはずだ。ごく一部の富裕層や金融バブルの恩恵を受けたものを除けば、圧倒的多くの米国民にとっても悪夢の8年であったに違いない。


■政権交代のない腐りきった日本の政治

 そんなブッシュ政権にひたすら追随、盲従してきたのが日本だ。

 
米国の巨額な戦費を米国債の購入だけでなく、アフガン、イラクへの戦後復興の名の下での巨額財政支援を積極的に行ってきたのは小泉総理以来の日本である。

◆正当性なき米国のイラク攻撃への日本政府の支持撤回の意見申し入れ  
◆日本政府へのイラク戦後復興拠出の不支持の意見申し入れ
◆自衛隊イラク派兵を勇気を持って断念させる意見申し入れ  

 
周知のように日本では小泉氏がマスメディアを使って行った情報操作による世論誘導による郵政民営化選挙で衆議院議員の2/3に迫る議席をとって以来、ブッシュ政権への盲従を一段と強めた。

 
小泉氏は政権途中で安倍、福田に総理の座を実質禅譲した。しかも正当性も正統性もない安倍、福田政権は、それぞれわずか1年で政権を放り出し、その後、またまた実質禅譲によってトンデモの麻生政権が誕生した。この間、一切総選挙はない。

◆青山貞一:「世界透明度」ランキング、日本は議員の世襲などで18位
◆青山貞一:大マスコミが報じない自民議員過半が二世三世議員

 
民主主義の根幹をなす民意を無視し、ひとたび世論操作で得た多くの議席をもとに、小泉、安倍、福田、麻生の各政権はブッシュ政権同様日本を壊してきたのである。

 
これら小泉、安倍、福田、麻生の各政権に共通していることといえば、いうまでもなく二世、三世の国会議員である。まさに「親の七光り」そのものである。

 
国会議員としての資質をもっているとは思えない三百代言的政治家、小泉氏、幼稚で稚拙な右翼思想をもった安倍氏、それにまったくリーダーシップをもたない不作為の福田氏、どれも首相、総理以前に国会議員としても不適格者と言われても仕方ない人ばかりだ。

 
日本はブッシュが政権にいた8年の間、そんなトンデモの宰相を総理としてきたのである。親の七光り、二世、三世、さらに安倍、福田、麻生に至ってはまったく国民の審判を得ないで総理となった「日本の民主主義の民度を象徴する人物」である。


■腐っても鯛の米国となれるかオバマ新政権

 ブッシュのやりたい放題、悪夢の8年を米国や世界は経験した。

 しかし、そこはチェック・アンド・バランスの国、米国は「腐っても鯛」であるはずだ。 バラク・オバマ氏が圧倒的大差でマケイン候補破り第44代の米国大統領に当選した。

 オバマ氏はアフリカ系黒人の血を引く政治家だ。オバマ氏はわずか上院議員一期で黒人初の米国大統領になった。コロンビア大学、ハーバード大学ロースクールを卒業した弁護士でもあるというから、エリートには違いないが、米国民が選んだ米国のブランドニューのリーダーである。

 米国は建国以来の危機にあることは間違いないが、その頂点で親の七光り、二世、三世でない、アフリカ系黒人を米国民はリーダーに選んだのである。

 腐っても鯛の米国、およそ民主主義から程遠い世襲で民意をまったく反映しない総理をいただく腐りきった日本である。

 だが、現在直面している金融、経済危機は、それこそ100年に一度クラスのものであって、経済、金融、外交などいずれも素人といわれるオバマ大統領が、果たしてどこまでやれるかは未知数である。

 巨額の財政出動は、当然のこととして累積財政赤字を増やす。日本はこれ以上ないほどの財政赤字に悩んでいるが、今後、財政赤字の兄弟となりかねない。

 またアメリカの成長物神、それも物的な成長にとりつかれた価値観やライフスタイルをそのままに、果たして持続可能な社会はできるはずもない。ブッシュは京都議定書から脱退したように、経済成長至上主義だった。オバマは環境に力を入れると言っており、財政出動の予算案も準備している。

 しかし、経済・技術至上主義的な「環境」主義は、ダボス会議における世界の環境保全力ランキング結果を見るまでもなく、必ず破綻する。

 「環境」は技術や経済で汚染を押さえ込むことより、まさに私達が物質的な「成長の限界」を強く認識し、技術や経済に極度に依存しないサステイナブルな生き方を実現することが最も重要なのだから。

青山貞一:世界の「環境保全持続力」ランキング AISブログ
 

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世界の知性は「テロ」の本質をどうみるか  青山貞一

◆N.チョムスキー(マサチューセッツ工科大学教授)

 米国、とりわけブッシュ政権の対外政策に痛烈な批判を浴びせ続けてきた世界の知性、マサチューセッツ工科大学のノーム・チョムスキー教授は、米国をして世界最大の「ならずもの国家」と公言してはばからない。

 今年、80歳になるチョムスキー教授は、ベトナム戦争以来の米国の外交政策を痛烈に批判している。 

 いわゆる「9.11」以降、チョムスキーの史実に基づいた言論は海外はもとより米国内でも高い評価を得ている。ロックバンドU2のボーカル、ボノはチュムスキーを飽くなき反抗者と呼んでいる。闘う言語学者、それがノーム・チョムスキーである。 

  イラクとの「対テロ戦争」をめぐる米国の対外政策についてのインタビューにチョムスキーは、次のように明快に答えている。 

  第一に、「対テロ戦争」という言葉を使うにあたっては多大な注意が必要です。そもそもテロに対する戦争というものはあり得ません。

 論理的に不可能なのです。

 しかも、米国は世界最大のテロリスト国家です。

 ブッシュ政権で政策決定に係わっている人々は国際法廷でテロとして批判されてきた人々です。

 米国が拒否権を発動しなければ(このとき英国は棄権しています)、安保理でも同様の批判を受けていたはずの人々なのです。

 これらの人々が「対テロ戦争」を行うなどということはできません。問題外です。

 これらの人々は、25年前にもテロリズムに対する戦争を宣言しています。しかし、私たちはこれらの人々が何をしたかを知っています。

 中米諸国を破壊し、南部アフリカで150万人もの人々を殺害する手助けをしてきたのです。他の例もあげることができます。

 ですから「対テロ戦争」などというものはもともと存在しないのです。

 「テロリズムはどう定義するのか」というインタビューの質問に対し、チョムスキーは次のように答えている。 
      
 テロとは他者が『われわれ(米国)』に対して行う行為であり、『われわれ(米国)』がどんなに残虐なことを他者に行っても、それは『防衛』や『テロ防止』と呼ばれるのである、と。

 以下は、チョムスキーがインタビューに答える形で話した「米国の対テロ戦争」と「米国のイラク攻撃」の全文である。長文ですがぜひ読んで欲しい。
  「対テロ戦争」:チョムスキー・インタビュー 2002年7月3日

◆イクバール・アフマド(思想家)

 チョムスキー教授の友人にイクバール・アフマド氏(Eqbal Ahmad)がいた。ノーム・チョムスキーやE.サイードの盟友でもあるそのイクバール・アフマドは「テロ」にどう言及しているのであろうか?
 
 アフマドは1999年11月にイスラマバードで病気でなくなっているが、彼は「9.11」が起る3年前の1998年、「テロリズム---彼らの、そして、わたくしたちの」と言う講演のなかで、テロリズムについて非常に示唆に富んだ話をしている。

 当時刊行されたイクバール・アフマド発言集「帝国との対決」(太田出版03-3359-626)、大橋洋一・河野真太郎・大貫隆史共訳)から以下に核心部分を引用する。

 まず第一の特徴的パターン。それはテロリストが入れ替わるということです。昨日のテロリストは今日の英雄であり、昨日の英雄が今日のテロリストになるというふうに。

 つねに流動してやまないイメージの世界において、わたしたちは何がテロリスムで、何がそうではないかを見分けるため、頭のなかをすっきり整理しておかなければなりません。

 さらにもっと重要なこととして、わたしたちは知っておかねばならないのです、何がテロリズムを引き起こす原因となるかについて、そしてテロリズムをいかにして止めさせるかについて。

 テロリズムに対する政府省庁の対応の第二のパターンは、その姿勢がいつもぐらついており、定義を避けてまわっていることです。

 わたしはテロリズムに関する文書、少なくとも20の公式文書を調べました。そのうちどれひとつとして、テロリズムの定義を提供していません。

 それらはすべてが、わたしたちの知性にはたらきかけるというよりは、感情を煽るために、いきりたってテロリズムを説明するだけです。

 代表例を紹介しましょう。

 1984年10月25日(米国の)国務長官のジヨージ・シュルツは・ニューヨーク市のパーク・アヴェニュー・シナゴーグで、テロリズムに関する長い演説をしました。

 それは国務省官報に7ぺージにわたってびっしり印刷されているのですが、そこにテロリズムに関する明白な定義はひとつもありません。その代わりに見出せるのは、つぎのような声明です。

 その一、「テロリズムとは、わたしたちがテロリズムと呼んでいる現代の野蛮行為である」。

 その二はさらにもっとさえています。「テロリズムとは、政治的暴力の一形態である」。

 その三、「テロリズムとは、西洋文明に対する脅威である」。

 その四、「テロリズムとは、西洋の道徳的諸価値に対する恫喝である」。

 こうした声明の効果が感情を煽ることでなくしてなんであろうか、これがまさに典型的な例なのです。

 政府省庁がテロリズムを定義しないのは、定義をすると、分析、把握、そして一貫性を保持するなんらかの規範の遵守などの努力をしなければならなくなるからです。

 以上がテロリズムヘの政府省庁の対応にみられる第二の特徴。

 第三の特徴は、明確な定義をしないまま、政府がグローバルな政策を履行するということです。

 彼らはテロリズムを定義しなくとも、それを、良き秩序への脅威、西洋文明の道徳的価値観への脅威、人類に対する脅威と呼べばいいのです。

 人類だの文明だの秩序だのを持ち出せば、テロリズムの世界規模での撲滅を呼びかけることができます。

 要約すれば、米国なり西洋が使うあらゆる暴力はテロリズムとは言わず、米国なり西洋が被る暴力はすべてテロとなるということである。

 これはチョムスキー教授の言説と共通している。すなわち

 「テロとは他者が『われわれ(米国)』に対して行う行為であり、『われわれ(米国)』がどんなに残虐なことを他者に行っても『防衛』や『テロ防止』と呼ばれる」

のである。

 ここに今日の米国やイスラエルの対テロ戦争や対大量破壊兵器戦争の大きな課題が集約される。

 米国やイスラエルが自分たちがいくら核兵器や大量破壊兵器をもち、使ってもそれは自由と民主主義を守る正義の戦いとなり、中南米、カリブ諸国にCIAや海兵隊を送り込み他国の政府を転覆したり、要人を殺傷しても、またイスラエルがパレスチナを攻撃しても、けっしてそれはテロとは言わないのである。

 イクバール・アフマドの経歴について
 イクバール・アフマド(Eqbal Ahmad)著作集について 

◆ウゴ・チャベス(ベネズエラ大統領)

 歯に衣着せず痛烈にブッシュ政権を批判するラテンアメリカの旗手、ベネズエラのウゴ・チャベス大統領は、2006年9月、ニューヨークの国連本部で行った演説のなかで、ノーム・チョムスキー教授の著作を片手に、ブッシュ政権の脅威について次のように明快に語っている。

 私が悪魔と呼んだ紳士である大統領(ブッシュ大統領のこと)は、ここにのぼり(注:国連本部の演壇)、まるで彼が世界を所有しているかのように語りました。全くもって世界の所有者として
...

 米国大統領が見渡すいかなる場所にも、彼はたえず過激派(テロリスト)を見ます。

 そして我が友よ――彼は貴方の色を見て、そこに過激派(テロリスト)がいる、と言います。

 ボリビアの大統領閣下のエボ・モラレスも、彼にとって過激派(テロリスト)に見えます。

 帝国主義者らは、至る所に過激派(テロリスト)を見るのです。

 もちろん、我々が過激派(テロリスト)であるなどということはありません。

 世界が目覚め始めている、ということです。

 至る所で目覚めています。そして人々は立ち上がり始めています。

 私の印象では、世界の独裁者は残りの人生を悪夢として過ごすでしょう。

 なぜなら、我々のように米国帝国主義に対抗する全ての者たちや平等や尊重、諸国の主権を叫ぶ者らは立ち上がっているのだから。

※ベネズエラ大統領チャベスの国連における大演説全文(2006年演説全容)
※チャベス大統領 国連演説全容(2005年演説全容) 日刊ベリタ
※ベネズエラ大統領チャベスの国連における大演説全文(2005年演説全容) 

◆佐藤清文(批評家)

 アラビア語で「情熱」や「闘魂」という意味の「ハマス」について報道されるとき、日本のメディアは「イスラム原理主義組織」と報道していますね?

 しかし、アルジャジーラを含め、アラブのメディアでは「パレスチナ抵抗軍」と報道するのが常です。

 実際、そう訳さないのは不正確なのです。ニュースは一つの報道だけでなく、多様な見方を意識していないとといけないのですが、日本の報道機関がアメリカ向きだというのはこういうところからもわかります。

 こういうところから直していかないと、本当の国際的な眼は養われませんね。

注)ハマース
ハマース、正式名称はイスラーム抵抗運動(Harakat al-Muq?wama al-Islamya)といい、各単語のアラビア文字の頭文字を取って(ハマース、アラビア語で「熱情」という意味)と通称される。 Wikipedia

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トヨタ、日本で大量解雇、米国で解雇なしの奇っ怪!?  青山貞一

 トヨタは、金融危機以降の減益でも、実に6000億円もの黒字を見込んでいる。他方、来年3月までに期間従業員を約6000人(10月末現在)から3000人に半減する方針という。さらに来年3月までに7800人を削減する計画もあるという。

 減益とはいえ、6000億円もの黒字を見込んでいるのに数1000人規模の雇用削減はいかがなものであろうか?

 そんななか、12月13日、米国のCNNが慣習的に解雇による人員削減を行わないアメリカの企業について報道していた。

 そのなかに、北米トヨタの名前があった。北米トヨタでは従業員は解雇せず、生産調整のために余剰になった人員には職業訓練プログラムを受けていてもらうとのことだった。

 アメリカで解雇しないで、日本で解雇するというのは、「生き残るため」というトヨタ経営陣の道理が通らない。

 おまけに、トヨタには15兆円も余剰金があるという。増益していたのに 納税額減をえたらしい。

 していることがことごとくおかしい。明らかにおかしい。まして今回の日本での首切りは明らか道理が通っていない。

 トヨタは説明責任を果たすべきだ! 

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産廃処分場上の住宅開発、さらに12名が愛知県と都市再生機構を提訴    池田こみち

 提訴は当然のことだろう。誰が、愛知県が造成し、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構:平成16年に都市基盤整備公団と地域振興整備公団の地方都市開発整備部門一体化してできた組織)が販売した住宅団地の下が産廃処分場であることを想像できただろうか。しかも地盤沈下と有害物による汚染も明らかになっている。

 この事件については、地元で運動の中心にいる丸山直希氏が独立系メディアに愛知県への公開質問状を投稿している。

「桃花台ニュータウンの軟弱地層及び産業廃棄物による沈下問題に関する愛知県知事への公開質問状」
http://eritokyo.jp/independent/komaki-col0001.html

 現在、住民の不安と怒りをよそに、愛知県とUR都市機構はお互いの責任をなすりあうという醜い法廷闘争を繰り広げている。終の棲家としてこの地に居を構えた方々も高齢化が進み、この問題とどのように対応したらいいのか、それぞれの事情もあって地域は大変な苦境に立たされている。

 今後も提訴に踏み切る住民が相次ぐことが予想されるが、このような事案に対して、司法がどのような判断を下すのか、注目していきたい。少なくともまともな対価を支払って分譲住宅を購入した人々にはなんの落ち度もないはずである。

中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/national/
news/CK2008111102000067.html
桃花台訴訟、新たに住民12人提訴 愛知県と機構に損賠請求

2008年11月11日 朝刊

 愛知県小牧市の桃花台ニュータウンで2001年、地盤沈下が起きて地中から有害物質が見つかった問題で、住民ら12人が、宅地造成した県と住宅を販売した都市再生機構(横浜市)に対し、有害物質の除去と計1億2000万円の損害賠償を求めた訴訟を10日、名古屋地裁に起こした。

 訴状によると、県は1987年、造成した宅地を機構に売却。機構は建売住宅を分譲し原告らは88-89年に購入した。2001年に一部住宅で地盤沈下が発覚。調査の結果、地下に環境基準を上回る鉛やヒ素を含む産業廃棄物が埋まっていたことが判明した。

 原告側は「県は有害物質があると知りながら造成し、機構も必要な調査や廃棄物撤去をしないまま分譲した」と主張している。

 同ニュータウンをめぐっては、機構が06年、損害賠償を求めて県を提訴。07年には別の住民3世帯が県と機構に約1億円の損害賠償を求めて提訴している。

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